色々な行方
最近の権利意識
今から4~5年前、ウチのHPで主催していたBBSへの誰か匿名の書き込み。
「お金もらってるんでしょ?だったら言う事聞くべきでしょ。」
診療内容と歯科医師としての見解の相違へ対しての書き込みでしたが、もう既にこの頃から、権利の対価としてのお金のあり方を、こういう風に考えている人がいる事に、当時はそれなりに驚いたものでした。あれから数年経ったわけですが、最近は医療に対する権利の主張が、ますますひどくなってきているようです。特に歯科医療の場合、製作されたものが、人工臓器と言う形で口の中に入るわけで、これは紛れも無く「モノ」ですから、それを生物学的に機能させる事に重点がおかれる筈なのですが、どういうわけか「モノ」に重点がおかれるのです。「モノ」は壊れますし、生物学的に機能できない時もままあるわけです。そういうリスクが発生するのが歯科の世界では普通でしょうし、歯科医師側もあえてそうしたい等と思っているわけでも無いのです。
例えば先日来た30代の患者さんは、歯周治療とメインテナンスが目的だと主張して来ていたのですが(治療とメインテナンスは手段ですよ・・)、ムシの居所が悪かったのか、あるいは担当の衛生士に不手際があったのか、衛生士は泣きながらもうあんな人を担当するのはいやだと言うし、患者さんは大声で自分の主張だけの話をがんがんするし、もう何がナンだか(笑)。内容は別にたいした事じゃないとワシは判断しているが、患者さんはいったい何が気にくわないのか良く分からなかった一幕でした。
ただ、話を良く聞いてみると、本人の知識と情報だけで歯科を決めつけている事と、我々の言い分は基本的には信じない事と、そして重要な項目がちらり。そう、病気を治すのはあんたらの仕事で、その病気が治らないのはあんたらの所為(メインテナンスしている甲斐がない可能性があると疑ってんですね・・)。。。。あ~なるほど、病気になった事は棚上げのいつものヤツです。不必要な処置を強引に進めたとか被害妄想も見え隠れ。こう言う方々の共通した言い分は、「私は忙しい」「私は今日は具合が悪い」。で、大声でまくし立てて他の患者さんに迷惑をかける事が気にならない。口角が下っていて、精神的につらそうに見える。それじゃあ生理的にきついでしょうに、何をやってもうまく行かないでしょうに。。。。今まで、お互いのコミュニケーションが全く不足していた事に気がつかず、そういう部分ではワシもかなり反省です。。
まあ、このかた社会よりも何よりも自分が大切です。そういう誤った教育審議会答申教育の、多分まっただ中の世代ですから、誰が悪いと言う事は無いのでしょう。。。。しかし、、、世の中、こう言う人が増えたら歯科はものすごく窮屈ですよね。ですから、本当に、なるべく歯科の門をたたく時は予防と管理で行けるように、日頃から正しい知識を身につけて行くしかないのかしら?でも、それじゃあますます窮屈だから、誰しもアソビを作るじゃないですか。。ワシらは何時でもそのアソビのスキマを埋める知識と技術を研鑽しているんですよ。安心して信用してください。
権利ばかりの主張は、自分で自分の首を絞めるだけじゃなく、次の世代がもっと住み難くなる、もっと辛くなると言う事を念頭に置いておきましょう。歯科に限っても、快適に日常を過ごす為には、お互い快適な関係が不可欠です。快適な関係がとれないのはどちらにも問題がある筈ですから、原因を冷静に探せばいいだけなんですね。でも、権利ばかりの主張は、ミスを見つけると許しませんから、お互い色々な事を隠して関係は悪化します。そんな中で理想的な快適性は全く期待できないでしょうね。目的と手段をやはり間違えた結果でしょう。。
Posted: 日 - 6月 7, 2009 at 12:47 午前