付加価値崩壊の波
今の消費心理が、消費者となってしまった患者心理にどう影響するのか検証・・・・
日経BPの記事で「消費を襲う付加価値崩壊の波」・・・・・と言うコラムなンですけれど、、、、読むほどに何か嫌な感じや、かつての大バブル崩壊後の状況と似てますね。必ずしも、歯科医療枠が、現在の加速化した消費退潮と同率で動いているとは思えないのですがしかし、考察してみた。
世の中の調子の善し悪しとは別にこの国の消費者は、「ブランド崇拝」や「高機能」に惜しげもなくお金を使う人が沢山いる訳です。資産一億以上のライトリッチ層が世界一の比率で存在するのも事実なんです。それを元に、本来の富裕層へ移行する割合も、インドや中国をあっさりと抜いているんですよ。これは知らなかった。。この層の人達は、基本的に高付加価値のものをリスペクトするのだ。それにつられて、一億総中流意識の層の人達も右ならいで来たのは事実なんです。
ところが2008年の秋以降この情勢が一変した。例えばパソコンは、20万円以上の高機能機種がほとんど売れない状況が続いているわけで、確かにネットやメールだけのユーザーが多いので、5万のPCでもちろん大丈夫なわけですよ。今じゃあそれが、3万、1万、そして100円とエスカレートしてきた背景には、「安ければ買う」意識が以前にもまして高くなってきたからですよ。
かつて、「せっかくお金を使うのなら良いものを買いたい」という消費者層の人たちがです。明らかに付加価値の死であり、これをコモディティ化宣言と言う。この宣言を受けた商品は、中国産だろうが北朝鮮産だろうが関係ないわけで、安ければいいわけですね。自動車も、昨年史上最高の売れ行きだった軽自動車。明らかに自動車自体がコモディティ化したと言う事なんです。軽に乗って100円PCをいじりながら、ユニクロで十分、というのがスタンダードになりつつあるんですな。
この付加価値崩壊の波は、ワシら歯科業界にも確実に押し寄せてくるでしょう。行き過ぎた高品質化やあいまいな付加価値化を進める現代の歯科医療の方向性は、既に都市部において価格破壊ともとれるダンピングが横行し始めているじゃないですか。ワシらは今の経済危機で米国の豊かな消費はハリボテであった事に直面したわけ。もしかすると米国型の消費型歯科医療が今の状況と同じなのかも知れないと考えていくべきであり、日本の優れた社会保障の元における歯科医療こそが、本来回帰すべき医療の本質であり、(今流行の)まやかしの付加価値型歯科医療は容赦なく暴れることはマチガイナイでしょう。
もちろん、真に価値を持つものが生き残るのは間違いの無い事。しかし、多くの日本の歯科医療提供者(歯科医師及びスタッフ)はハイクオリティの技術やサービスを保持しつつも、それを昇華できないでいる事もまた事実。まさに、消費市場の「過剰」付加価値なのだ。まさしく、消費者意識を大いに持つ、かつての患者ではない患者を増産させたのは、何を隠そうまやかしの付加価値に躍らされ、本来の仕事を突き詰める方向性を見失った歯科医師自身ではないですか。そんな患者と歯科医師の関係に、目をつけるマスコミがおかしいのではなく、ワシら自身が見失った歯科医療哲学の崩壊こそ、何を隠そう付加価値崩壊だった訳です。。
ガンバロ。。。
Posted: 水 - 1月 14, 2009 at 11:33 午後