日本の歯科医療の混迷(2)


気がついた時に書き留めておかないとね

昨日の続きですが、言っている事が矛盾しているんじゃないかと言う指摘に対するリスク回避でもありますが(笑)。。
保険診療の中に高度な技術を還元している先生方が、日本中にごまんといると言う話の続きをちゃんとしておかないとね。技術は還元できるのですがそれに伴う機械や材料が持ち出しだと、その素晴らしい先生は本当に困窮します。ですから歯科の自費診療の根幹は、医院経営を圧迫しない設備投資に対する補填だと思ってもまちがいないでしょう。これは一般医科では考えられない事です。なぜなら、多くの最先端技術とそれに伴う材料の費用が、保険診療の中に比較的早くしかも適正な評価額で導入される為です。
これは裏を返すと、歯科の場合はEBMが確立している先進技術が少ないのではないかという疑問と、保険診療の中に積極的に取り入れる事を歯科医師自身が良く思っていないという2つに起因しているようです。つまり、現行の保険治療の評価額があまりにも低いために、新しく導入された項目が不当に低くなるのではないかと言う危惧がそうさせているのでしょう。

例えば、今回平成20年から新しく導入されたGTR(歯周組織再生療法)と言う項目があります。なぜかEBM確立まで10年以上の年月がかかりました。技術的評価額は1歯につき930点~630点(9300円~6300円・・この価額幅は方法と材料により若干違ってくる)+材料料900点~880点(9000円~8800円)合計15000円~18000円ですね。当院ではこれを15年前から(保健導入まで15年かかったと言う事)自費で30000円で行なっていました。内訳は、材料料で20000円(現価で15000~25000円の材料費がかかります)、設備技術料で10000円なわけです。で、これを18000円でやりなさいと(笑)。そりゃそうだ、誰もやらんでしょこれじゃ(笑)。この点数を作った人は簡単なたし算すらできない役人なのでしょう。

もう一つ不思議な事が。
本来、自費の治療は初診から全て自費と言うお約束で、これは医科での自費抗がん剤で知っている方も多いのでは。これを、保健の初診で行ない自費治療を途中にからませると混合診療と言う、厚労省が目の敵にしているシステムになります。裁判で負けたのに、混合診療は違法と頑張るのです。法的根拠が無いにも関わらず、役人ですから頑張るわけです。
じゃあ、かつて自費で行なっていたGTRですが、初診から自費なんて基本的にあり得ないじゃないですか。全ての検査、全ての必要処置、そして歯周基本治療の繰り返しの後、手術決定、そしてGTRが必要・・・・・どうするんですか?
まあ、長い間こう言う肝心な事を放置した、ワシらも日歯も役人も、バカとしか言いようが無いですな。他にもこう言う矛盾した事は沢山あるわけで、これこそ歯科医療の混迷。そして、一度保健導入されると、保険医登録をしている限り自費ではできなくなるクビしめ(笑)。なんなんだ?これは。。

で、揚げ句に混合診療をどう解釈したかは知りませんが、一つの口の中で、右側は保険診療。左はインプラントで自費だから、一緒に型をとって作ると混合診療になるからダメだと言う、、、愚にも付かない事を言い出す技官が出る始末。これならワシは確実に裁判を起こすが、ここをお読みの諸氏は如何?補綴に関しては混合診療を認めたのはあなた方ですよ(笑)。

はっきりしている事は、この混迷を作り出したのは歯科医師自身である事、その矛盾に決起しない歯科医師が多い事。その多くの理由は、歯科医療自体が社会性を持っていると言う認識が、患者にも歯科医師にも少なく、個人のおかかえ歯科医師で十分満足しているじゃないかと言う所を役人に見透かされているところ。
ワシらはせめて、現段階なら、保健導入まで10年以上かかるのなら、混合診療の問題だけでも、徹底的に激論するべきじゃないのか?

Posted: 水 - 4月 29, 2009 at 11:02 午前        




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