診療内容を再考しようか


若手の先生方との目的意識を統一しないと

診療内容について再考しなければと思っています。どうも最近は、米国型の「集患システム」先行のホワイトニングから始まった「自己啓発セミナー」まがいの洗脳セミナーが増えてきているので、かつて安穏と歯科をやり過ごしてきた先生や、こんなもんだろうと投げやりにしていた先生や、新規開業で焦っている先生方が、まあ、見事に食らいつくですよ(笑)。

ホワイトニングはハリウッドのセレブ御用達から始まったんですが、エステティックとコスメティックと混同するのが今の歯科流?なわけないのにね。同じハリウッド発のラミネートベニア。21年前にワシは初めて患者さんに行ったが、今でもキレイに機能的に経過しているから、こっちのがまだ使えるでしょ。
同じ20年前にわしも参加していた全身咬合研究会(現全身咬合学会)の焼き直しのセミナーの案内も最近増えましたね。科学的なものからスピリチャル(笑)なものまでね。咬合と姿勢の問題は、すでに1980年代に当時のウイーン大学のスラブチェック教授が著書「The Masticatory Organ」の中で発生学的組織学的要因との関連を科学的に分析しているわけで、この問題とブラキシズム(はぎしり)の機能が多岐にわたり記してあります。しかし、科学的検証と再現性を無視して「あの先生がやると治る」などと言うトリックを真剣に聞き及んで洗脳さている上記の先生方がちょっと心配。
あるいは一番多い相談が、いつもワシがこき下ろす(笑)経営セミナー群。ホスピタリティと費用は比例して増加するという前提で異論はないけれど、一人勝ちを助長するその都市型個人主義的医院経営にワシは反感を持っている。体裁はいい。接遇も完璧。しかし、方法論として患者さんに迎合してこそ深いホスピタリティというのはいただけないなぁ。ワシはもっとクリアで科学的で理論的な経営を皆で共有したいと思うのだが。

医療の患者さんへの迎合が新たな疾患を生み出すのは歯科に限ったことではないけれど、そこに経済的にも精神的にも疲弊している歯科医院のわらにもすがるシステム構築紹介の一つに口臭治療外来。ワシの記憶が正しければ日本歯科大学に初めて口臭治療外来が出来て10年と少し経過するんですが、何故に最近こうも騒ぎになるのかと言えば、多くの歯科医師自体の歯周病に対する取り組みが不十分だったところに見事につけ込まれたと言うことかな。例えばスカンジナビアペリオが日本に登場して30年以上きちんと取り組んでいる先生方には何を今更の感が強いのだ。しかし、そうでは無かった先生方には診療科目の増加と言うことで、ま、確かに食いつく。悪い事じゃないけれど、新たな患者さんを生んでいることは事実だからシステムが誰のために何のためにあるのか検証する必要があろうかと。退官されているが、細菌学のT大学のY教授が、最近の口臭治療と言うカテゴリーを鼻で笑ったのは記憶に新しい。
咬合も口臭も、「あの先生」の元に全国から患者さんが集まる・・・と言うのが正し医療なのか??ワシに言わせれば、作られた患者さんが集うだけ(毒)(笑)。

再考の最重点は、実は足下。PRD補綴分類(1997 periodontal restorative dentistry) クラスI~IVのうちのクラスIII~IVを如何に手がけることが出来るかに、歯科の将来はかかっていると再考するべきで、目的は「そうでなければだれも幸福にならないから」と言う単純なものですよ。一次予防や二次予防等当たり前。ペリオの管理等当たり前。不幸にして補綴を選択せざるを得ない患者さんに最良の選択肢を提供するのも当たり前。その方法論を議論しましょうよ。

Posted: 金 - 5月 7, 2010 at 01:08 午後        




©