ゴシックアーチ描記法による顎機能診断とそのポイント
近年、顎機能診断の方法及び機器が色々開発され臨床に応用されてきていますが、その機器はどれも
高価で、我々GPにとってそれを入手することはかなりのリスクを背負うことになることは否めません。
そこで、安価で、手軽に出来る顎機能診断方法として、ご存じのゴシックアーチ描記法があります。
え?今更ゴシックアーチ??とお思いでしょう。確かに限界運動路しか解りませんが、それはそれで、
このようなことが推察できるのではないかと、考えております。
ご意見・ご感想・ご指導をお願いします。
まず、ゴシックアーチ描記法で何が解るのかというと、教科書的になってしまいますが、
1.水平的顎位の決定
2.顎関節の機能診断
3.習慣性咬合位の診断
4.下顎運動習癖の診断
5.チェックバイト記録時の基準
ということが考えられます。
これらが実際にゴシックアーチ描記法においてどこで解るのか、検証してみたいと思います。
その前に、ゴシックアーチ描記法において描
かれる図形の確認をします。
なお、これは上顎に描記板を付けた場合で
す。下顎に付ければこれは180度回転させ
た状態になります。(Fig.1)
Fig. 1
では、実際に各要素について検証していきます。
ゴシックアーチ描記法における診断の最初のポイントとして患者が書けるかどうかというのがあります。
書けない場合は、Fig.2の原因が考えられます。
Fig.2
基本的に、自分はこの前方経路が真っ直ぐであるかどうかが最も大きなポイントとして、考えております。
下顎が真っ直ぐ前に出ない場合、色々な問題が考えられます。
真っ直ぐ歩ける。真っ直ぐ立てる。真っ直ぐ前を見れる。そして真っ直ぐ下顎を前に出せる。
これが出来れば、基本的に生体のバランスが保たれているのではないかと考えます。
Fig.3
Fig.4
Fig.5
Fig.6
自分がゴシックアーチ描記法を行うときに気を付けているポイントとして
1.患者が書けるようになるまで練習させる。
2.スタイラスの位置は小臼歯部に
3.咬合挙上量は出来るだけ少なく
4.絶対にがたつかないように
5.治療前・治療後の比較
があります。
以前のゴシックアーチトレーサーは、スタイラスが固定されていたため、咬合挙上量が規制されてしまい、運動時に歯牙の接触があれば再度作りなおさなければならず、どうしても多めの挙上量を設定する必要がありました。
H−Aゴシックアーチトレーサーが発売されて、オーバーバイトゼロもしくは、側方運動時にどの歯牙も接触しない状態で、トレーシング後、スタイラスを下げて、歯牙が接するぎりぎりの状態で、咬合採得出来るようになりましたので、ゴシックアーチ描記法ももしかすると見直されてくるのではと思っております。