フェイスボウ・トランスファーの実際
まず、フェイス・ボウトランスファーの目的は何なのか考えてみましょう。
1. ボンウィル三角の再現
2. バルクウィル角の再現
3. 蝶番開閉口運動軸の再現
4. 下顎運動の開閉口路の再現
5. 下顎運動の再現性の向上
6. 補綴物における早期接触の予防
7. アンテリアガイダンスの設定基準
8. 歯軸と被蓋の設定基準
フェイスボウ・トランスファーによって、以上のことが再現できます。我々臨床医にとって、こんなにもたくさんの情報を一度に得ることが出来るフェイスボウは絶対捨てがたいアイテムです。しかし、その術式が不確実だと、せっかくの作業が無駄になるばかりでなく、かえってやらない方がよかったなどと、歯科医師と技工士間の信頼を無くし、残念な結果になってしまいます。
ここで、フェイスボウ・トランスファーの基本的な術式をマスターしましょう。
フェイスボウをとったとき、まず問題になるのは、
1、バイトフォークに印記された咬頭の圧痕と模型が合わず、かたついてしまう
という事が考えられます。
ここで、クラウンの印象を考えてみましょう。ある歯牙の印象を2回とって、各々の作業用模型でクラウンを作ります。A の作業用模型で作ったクラウンはB の作業用模型には普通入りません。その逆もしかりです。しかし、A で作ったクラウンもB で作ったクラウンもその歯牙にはちゃんと入ります。
ここで、一つの結論が出てきます。
バイトフォークへの印記は、必ず模型上で行う。
そうすれば、口腔内にはまず間違いなく、適合します。それを口腔内でバイトフォークに圧接するから、模型上でかたついてしまうのです。
さて、バイトフォークの適合はOK となりました。さて、フェイスボウをとります。
そして、次の問題点が出てきます。
2、トランスファーしたとき、模型が曲がって着いてしまう
この原因は2つあります。
1、耳の位置が違う。
2、クランプを絞めるときに曲がってしまう。
後者は注意してやりましょう。左手でがっちり押さえながらクランプを絞めます。
問題なのは耳の位置が違う場合です。これはかなりの頻度で見受けられます。
でも、心配ありません。
ボウが正中矢状に直交するようにククッと動かせばいいんです。
スライドマチックタイプのフェイスボウを使う場合は、これでOKです。
シンプルボウを使う場合は、もう一つの操作をすることによって、より確実にトランスファー出来ます。
それは、ボウの真ん中にマーキングをして、それを正中矢状に合わせるということです。
スライドマチックタイプはこれは出来ませんので正中がずれてつくことがあります。
でも、スライドマチックタイプの限界でしょう。
これだけ!これだけです!!
さあ、やってみましょう!!!
フェイスボウの術式の写真と説明は こちら をクリックして下さい。
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