CT上で、以下の値を測定してみました。
・右皮膚表面から右 Condyle の中央までの距離 (RS-RC)
・Condyle 中央 からCondyle 中央までの距離 (RC-LC)
・左 Condyle 中央から左皮膚表面までの距離 (LC-LS)
・Condyleを通過した左右皮膚表面間距離 (RS-LS)(mm)
・RS-LSに対するRS-RCの割合 (RS-RC/RS-LS)(%)
・RS-LSに対するRC-LCの割合 (RC-LC/RS-LS)(%)
このデータを用いて咬合器付着する際、
1、1mmという誤差は、この場合、臨床上問題にならない。
2、関節頭は、楕円形のある角度θを持っていることに対して、咬合器の顆頭球は球であること。
3、関節頭間距離は個人によって違うが咬合器の顆頭間距離は110mmと規制されていること。
4、このデータに基づいて咬合器付着した場合、フェイスボウトランスファーした上顎模型の前歯部切縁の位置と、ほとんど一致すること。
という理由から、このデータを臨床に応用して差し支え無いのではと判断しました。
実際、咬合器顆頭球中央から20mm,22mm,25mmの所から、付着してやってみました。
そうしたら、咬合器のボーンウィル三角に最も一致するのが25mmの所でした。つまり、これは患者固有のボーンウィル三角が相似的に拡大(もしくは縮小)され、咬合器の持つボーンウィル三角に一致したと考えることが出来るのではないかと結論づけました。
上記の、データの信頼性に関して、こういう検査もしてみました。
患者のカンペル平面に平面板を置き、平均的顆頭点にノギスをおいて、カンペル平面に直角になるように頭頂方向から写真を撮り、正中矢状とノギスのなす角度を数症例調べてみました。その値が25mmの時と、ほとんど一致したのです。
以上の経緯から、私は現在、25mmという値を臨床上使用しております。
また、このデータを測定するに際し、岩手医科大学歯学部歯科放射線学教室の坂巻 公男教授はじめ医局員の先生方に多大なるご迷惑ならびにご指導頂きましたことに、この場をおかりしまして、あつくお礼を申し上げます。
ありがとうございました。
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